4月に来日決定
...ということは、当然やってくれますよね、あの曲を

孤高のベーシスト、ミシェル・ンデゲオチェロの来日公演が4月に決定
 〜 Billboard Japan  2019年1月8日

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(2018年4月5日)

ミシェル・ンデゲオチェロの新作カバーアルバムが絶賛されていますね。

良いインタビュー 音楽に対するストイックなまでの姿勢がプリンスと同じ。
Meshell Ndegeocello on Prince, Her New Covers Album
 〜 The Muse  March 16, 2018
 

(サマリ追加)

なぜカバーアルバムを作ろうと思ったのですか?

ミシェル:レーベルに何か渡さないといけなかったんだけど、不思議な時期だったわ。父親が亡くなり、母親が認知症になり、テレビ番組の仕事を解雇されて。幼少期を過ごした実家を行き来している時に母親の車の中で唯一聴けたラジオ局がオールディーズ専門の局で、私が青春期に聴いた曲をかけていたの。小さなタイムマシーンに乗ってるみたいだった。ちょうど家族のことで感情的になっていた時期だったしね。青春期のサウンドトラックでもあった。だからカバーするのは自分の曲をやるより良い考えに思えたの。」

現時点での、あなたの音楽ジャンルとの関係性についてお聞かせください。というのも、このカバー集ではR&Bなどあらかじめ決まったジャンルの古典の曲を違う文脈に置き換えていますね。例えば Force M.D. の「Tender Love」はカントリー調になっていますし、ジャネット・ジャクソンの「Funny How Time Flies (When You're Having Fun)」に至っては私の中では完全にジャンル分けできない曲調になっています。

ミシェル:「Tender Love」についてはこう説明できるわ。LAに着くと、ドラマーと車に乗り込んでニール・ヤングの「Harvest」かスティーリー・ダンの曲を聴くの。ロサンゼルス国際空港からEagle Rockに着くまでしばし渋滞に巻き込まれる間リラックスできる曲ってわけ。「Tender Love」は当時私を癒してくれた曲で、今回のカバーにはニール・ヤングのテイストがかなり入っていると思うわ。ニール・ヤングは大好き。崇拝しているから絶対会いたくないわね。

意図的にジャンルをぼかしているのですか?R&Bの曲を何か他の不定形なものに変換させたり?

ミシェル:ジャンルの話は難しいわね。合理的に説明することもできるんだけど、ジャンルについては特に意識して考えてないわ。私はもうすぐ50歳になるから、R&Bを4周期(40年)以上聴いていることになる。沢山聴いてきたし、私の一部よ。でも、同時にザ・キュアーやプリンスも大好きなの。それがカバー集に表れているんじゃないかしら。原子構造において、私達は皆一人一人異なる生命体よ。「このジャンルで成功してみせる。だからこのジャンルに固執するぞ。」なんてビジネスのようには思っていないの。ミュージシャンとして文化的に”流動性”を持った存在であるように成長したいだけ(I’m trying to grow as a musician to be culturally fluid.。一つのことだけをやるように期待されるのは大嫌い。そんなの何の興味もないわ。

すごくプリンスっぽいですね。

ミシェル:そう。プリンスがいたから私は音楽をやっているの(Yeah, he is definitely the reason why I play music.)

このカバー集で最も悲しい曲の一つである「Sometimes It Snows in April」は、思えばプリンス自身の死について語っているようで不思議じゃないですか?彼は4月21日に亡くなりました。彼の曲にはあまりに多くの偶然の一致があるように思えてなりません。"彼自身の死"というレンズを通して見ると、彼の音楽には深淵な精神性を感じますね。

ミシェル: そう。偶然の一致、パターン、パターン認識とでもいうね。パターンがあるわね。この曲に関して言えば、ラブソングやダンス曲を書ける人は沢山いる。物語仕立ての曲もね。私がこの曲を聴くと、プリンスは私達に哀悼する曲を与えてくれたんだって思うの。彼からの贈り物ね。哀悼する人達が浮かび、心に響く。誰かを哀悼するのを許してくれる曲とでもいうか。

プリンスはとても複雑なブラザーだった。彼は自分の私生活を公にせず賢かったわね。神秘性を保てた。人は何らかの形で自分の死を心の中で実現するすべを持っているのかしら(注「Sometims It Snows in April」の歌詞ご参照)?これはとても深い会話だわ。私が彼に繋がりを感じるのは、彼がセックスや神、性別といった葛藤を抱えていたから。こういうことについて私に語りかけたアーティストは他にいない。彼が苦しんで亡くなったのはとても悲しいことね。 

*注)ミシェルはバイセクシュアルです。

プリンスとは面識はありましたか?

ミシェル: 数回会ったことがある。でも関係はしっくりいかなかった。「自分のヒーローに決して会うものではない。」と私が思うようになった理由の一つね。

なぜしっくりいかなかったのでしょうか?

ミシェル: わからない。言えないわ。私は死者を尊重するタイプだから。でも、彼のことが大好きだったし、交流から多くのことを学んだわ。Yes, 私にはできる、って自信を与えてくれるような、私を導いてくれる光だった。

このカバー集のオリジナル曲はあなたが10代半ば〜20代半ばの頃の曲ですよね。その年頃は特に音楽に共鳴する年頃ですね。以前 New York誌はその事象を前頭前野の発達に結びつけた記事を発表していました。あなたのカバー集がとりわけ私的なものになっているのもうなづけます。

ミシェル: 私が家の中で座って、プリンスの曲やレコードを聴きながらベースラインを学んでいた時期ね。どうやって演奏したらいいか学んだわ。学校はつまらなかったからあまり行かずに、レコードを聴いて練習していたの。音楽にのめり込んだのよ。そうやって子供時代を過ごした。

あなたはこれまで多くの曲をカバーしていますね。良いカバー曲にするのに何か哲学はありますか?

ミシェル: たぶん(曲を)アレンジしたり再アレンジしたりする行為に、よりエキサイトするんでしょうね。強い親近感を覚える曲を選ぶようにしているわ。「あぁ、オリジナル曲を聴きたいよ。」と思わせないカバーがいいわね。「なるほど、面白い解釈だね。」という風に思ってもらうのがゴールかな。

(以後サム・スミス、ティナ・ターナー、ブルーノ・マーズ、ジャステイン・ティンバーレイク、マドンナ、自身の近況についてのコメントが続く)

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アーティストとしての意識が高く、一筋縄ではいかないクセのありそうな人ですね。単なるカバー集では終わってなさそうです。


ソロ・デビューを巡っては、ワーナー、マドンナのマーヴェリック、プリンスのペイズリー・パークで争奪戦を繰り広げたようですが、ミシェルは「マドンナを選んだ」とインタビューでコメントしています。

(情報源:ユニバーサル) 一部引用
ミシェルの才能は、単に優れたベーシストという枠にとどまるものではない。彼女は自分で曲を書き、歌も歌う。また、ベースのみならず、キーボードやギターなども演奏するし、自らアレンジもする。すなわちシンガー・ソングライターにしてマルチ・インストゥルメンタリストである。だからこそミシェルは、これまでソロ・アーティストとしての道を歩んできたと言ってもいいが、彼女自身はバンドで活動することを夢見ていたという。たぶんこうした気持ちを常に胸に秘めていたということが、これまで積極的にセッション活動を行なってきた要因のひとつなのだろう。実際にミシェルは、これまで数多くのレコーディングやライヴのセッションに参加し、多彩なアーティストと共演を重ねてきた。

プリンスとの共演について
  → 「Emale」と訂正いただきました。

Prince.org にもトピック上がっています。"Prince's band/ meshell ndegeocello would be awesome"


Pitchforkのアルバムレビューより

 A cover is an act of scholarship, an act of criticism, an act of intimacy.  An act of love.
   (彼女の新作での)カバーは学問の行為であり、批評の行為であり、親密さの行為である。そして何よりも愛の行為である。


カバーはミシェルなりのプリンスへのリスペクトであり、愛の表現なのでしょうね。真のアーティストと見た。

カバーアルバムより
Meshell Ndegeocello - Sometimes It Snows In April
 



Meshell Ndegeocello - Purple Rain, Tribute to Prince
うわ、これパープルレイン?渋い...
 


1月4日〜12日に開催されたNYC Winter Jazzfest の初日4日にビラルとプリンスの追悼ライブを行ったようです。ソールドアウト✨

ズバリ
 Thing Called Life: プリンス再考  
 → 「Let's Go Crazy」の歌詞より引用。どういうアレンジしたんだろう?解釈変えたのかな?
Thing Called Life: Prince Reimagined with Meshell Ndegeocello & special guest Bilal
 〜 le poisson rouge
 
  スケジュール 4公演のうち、フェスの初日にプリンス


ロバート・グラスパー・エクスペリメント『ブラック・レディオ』より
Robert Glasper Experiment - Consequence Of Jealousy feat. Meshell Ndegeocello
ニュアンスがあってシャーデーっぽい
 



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などの記述もあります。


ミシェル・ンデゲオチェロがプリンスの曲をカバー