プリンスが見出したインド系オーストラリア人のマルチ・アーティスト、ダレン・ハート(別名ハーツ Harts)のインタビュー記事をご紹介します。なかなか好人物のようですね。感動しました


Harts, trained by Prince and stealing the show
 〜 Daily Utah Chronicle  September 10, 2017


(サマリ)
ダレン・ハート(Darren Hart)はハーツ(Harts)として知られる"一人音楽専門家"だ。ドラム、キーボード、ギター、ベースのようないくつもの楽器を演奏できるだけでなく、インスピレーションがわく段階から実際に創作するまで、全ての過程に参加するアーティストである。実際、彼のセカンド・アルバム『Smoke Fire Hope Desire』に収録されている14曲は、全てハーツ自身により自宅のベッドルーム・スタジオで録音された。

インド系オーストラリア人のこのアーティストは2010年以来創作を続け、彼の音楽は様々なイベント、Rimmel Londonのスポットやスバルの国際キャンペーンで使われてきた。2016年にはGQオーストラリア誌の「アーティスト・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれている。彼はYouTubeでプリンスに発見され、プリンスと一緒に演奏し、このアイコンから指導を受けた。

『Smoke Fire Hope Desire』にはハーツの音楽に対するパーソナルな嗜好が反映されている。ロック・リフやソウルフルな歌詞にあふれているのだ。どの曲もユニークであり、慎重に作り出されたリズムは最後まで我々を釘付けにする。まるでハーツ自身のように。このアルバムで、ハーツは”素晴らしい音楽的才能をポップ・ミュージックに戻したい"と思ったという。「危機に直面している今、団結して一つになるメッセージを皆に聴いて欲しいんだ。また、リラックスして、一緒に歌って欲しい。つまりは、"まとまる"ことについてなんだよ。」

先に述べたように、ハーツは創作の全ての面において関わっている。アルバム名には背後に興味深いストーリーがある。彼はこう認める。
「このアルバム名は古い諺「煙のあるところには火がある(
Where there’s smoke, there’s fire. 注:日本の諺では「火のないところに煙は立たぬ」)」の言葉遊びだよ。その次にポジティブな言葉を加えたんだ。「希望のあるところには切望がある(Where there’s hope, there’s desire.)」ってね。この世には多くの悲しみと困難があるけど、まだ多くの愛が生まれているんだよ。」

ハーツは9月13日にユタ州のUrban Loungeで公演する。

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(関連記事)

Meet Darren Hart: Prince's Australian Protégé
 〜 GQ Ausgralia  September 16, 2016 *演奏映像あり

(サマリ)
プリンスのオーストラリアの弟子が、新しいアルバムを形作る上で、プリンスとのジャムセッションがどのように助けになったかを語る

「ハートは、僕が同じ年の頃どんな風だったかを思い出させる。」

これはプリンスの言葉である。当時プリンスはググったミュージシャン、ダレン・ハート(ハーツとして知られる)を気にかけていた。当時ハートがメルボルンのベッドルームで楽器をかき鳴らしているキッズだったことを考えると、そのような高い評価は驚くべきことかもしれない。

ほとんどいつも革ジャンと 50年代スタイルの白いTシャツ(またはサイケデリックなシャツ)を着ているハートのカッコいいサウンドは、ファンク、R&B、ロックにルーツがある。彼のライブはジミ・ヘンドリックス並みのギターの細かいカッティングと裏技でいっぱいで、7年前にギターを手に取ったばかりだと思うと、興奮に値する。

独学でベース、キーボード、ヴォーカル、レコーディングをマスターした後、ハートはマネージャーをつけ、EPを出し、マーズ・ヴォルタ(アメリカのロックバンド)のラーズ・スタルフォースから、自分の曲をミックスする申し出を受けることになった。音楽業界からは称賛が続き、それからある日ペイズリ
ーパークから電話があった。「非現実的だったよ。」ハートは言う。

「レーベルと悪い取引をしたところで、ちょっと悲しんでいたんだ。そしたら2時後にプリンスのマネージャーからメールをもらった。」
ハートは最初イタズラメールだと思ったが、電話が鳴り、電話の相手はプリンスだと告げられた。

「君の曲をよく聴いているよ。」シンガーは言った。「ここに来て、僕たちと一緒にレコーディングと、演奏して欲しいんだけど。」ハートは冷静を装い、2週間後にはミネソタへ向かっていた。

「プリンスはビジネスについてアドバイスをくれたよ。」ハートは言う。「彼は音楽産業の現状に不満を持っていた。僕みたいな人間が変化を起こし、今日のポピュラー・ミュージックが置かれている状況にチャレンジするよう刺激したかったんだ。」

70年代ソウル、ヒップホップ、バディ・ガイ、ジャック・ホワイト、ビッグバンドのファンクからの影響を融合したジャムセッションの成果は、ハートの新作アルバム『Smoke Fire Hope Desire』で聞くことができる。リスクを冒すよう教えを受けたおかげで、かつてないほどより大きく変化に富んだ作品となっている。「プリンスは僕に挑んできた。」ハートは言う。「僕があまり好きじゃないジャンルの音楽も演奏したんだけど、プリンスは僕に音楽には"もっとある"とわかって欲しかったんだ。できるだけ多くの音楽を発見しなきゃいけない、そうすることが音楽産業で長生きする秘訣だって。そうすることが、創作を続けようという気にさせるんだって。」 

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Harts: "One morning I got a call, and it was Prince"
 〜 Faster Louder  October 2, 2014 *音源あり&ジミ・ヘン「Purpla Haze」のカバー映像あり

(サマリ)
どんな経緯でペイズリーパークでプリンスとジャムセッションをすることになったのですか?

ハート:基本的にはプリンスが僕の曲を聴いて、YouTubeで僕のライブビデオを観たんだ。で、ある日突然彼のマネージャーからメールがきた。「プリンスが君を見つけたよ。君がやっていることが好きだから、君と話したいと言っている。」最初はイタズラメールかと思ったんだ。でも僕のマネージャーが目を通したら本物だった。僕の電話番号を送ったら、ある朝電話があり、プリンスだったんだ。僕と話して、招待してくれた。最初に僕の都合がいいかを尋ねてくれたのがファニーだったよ。それから一緒に過ごすためにペイズリーパークに招待してくれた。

ペイズリーパークは神話にあふれる場所ですが、中はどんな感じでしたか?

ハート:奇妙だったよ。外から見ると巨大な白いビルに見えて、それが何かはわからない。でも一歩中に入ると、プリンスの世界だって気がつくんだ。最初に目についたのは、ロビーにある「パープル・レイン」のバイクだったね。とにかく全てがパープルなんだ。そこら中にプリンスの大きなシンボルマーク、プリンスの素晴らしいアートワークがあったね。それから1階には大きなスタジオがいくつかあって、それから 5,000人を収容できる施設があって、僕たちがほとんどの時間演奏したスタジオの隣にはクラブがあった。うまく描写するのは難しいな。多くの人々はプリンスが変人だと思っているけど、そんなんじゃなかった。完全にノーマルで、気さくな、飾り気のない人だったよ。音楽に囲まれた趣味のいい場所だったね。音楽以外にはやることがない場所さ。彼は深く音楽に根差した人物なんだよ。ペイズリーパーク・スタジオがそのことを表しているよ。

あなたはプリンス、3RDEYEGIRL、NPGとジャムセッションしましたが、その間あなたの頭には何がよぎりましたか?

あまり考えないようにしたよ。だって、もし考え過ぎてプリンスがそこにいるのを見たら、意識しちゃうから。溶け込めるようベストを尽くそうとしたよ。正直に言うと、少し震えてたんだ。でも数分間演奏したら、心地よく感じるようになった。彼らは傲慢な人達じゃない。他のアーティストにとても敬意を払うんだ。ただそこにいて、教えてくれたよ。彼らのようなミュージシャンと演奏することは、僕にとって大きな学びになった。フレンドリーで、他のアーティストにも親切なんだ。僕の能力を気に入ってくれて、しばらくして馴染んでるって感じるようになった。でも、最初は少し緊張して、震えちゃったよ。

バスケットボールとパンケーキはありませんでしたか?

ハート:いや、どれもなかったよ(笑)。

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・アマゾンSmoke Fire Hope Desire  * 試聴できます

Rolling Stone オーストラリア誌アルバムレビュー


Harts: discovering his voice and meeting Prince
プリンスとの交流をもっと詳しく語っています(本人の再現あり)。
レーベルとの取引で嫌な目にあい、音楽を諦めようと思ったその日に(!)プリンスのマネージャーからメールが届いたそう。これは、まさにサイン...✨
プリンスはハーツに会って、大きなハグをしたそうです💜
ライブでトリビュートしている映像あり * 英語字幕あり




Interview: Harts talks Prince, Hendrix and "Daydreamer" with the AU review.

他にも動画が上がっています




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プリンス、ハーツに自分の若い頃を重ね合わせていたのですね
マルチ・アーティストなところはもちろん、雰囲気も何となく似ていますね

プリンスはいろんな音楽を浴びるように聴いて、柔軟に自分の曲に取り込み、ジャンル越境型(融合型)の作品を作ってきた。それが、今日のヒップホップ✖️R&B✖️ファンク✖️ジャズの融合であり、サンダーキャットであり、ベックであり...全てが繋がって連鎖しているのを感じます。
そして、若い世代がさらに音楽をアップデートしていってますよね ハーツ❤️にも期待しよう。新たなる希望

それにしても、プリンスを起点にして音楽世界がどんどん広がります✨
点と点がつながって線になる瞬間、「あ、この人とこの人が繋がっている!」と発見した瞬間の興奮たるや。連想していくのが楽しくて仕方ありません。音楽ってこんなにも豊かなものだったのか、と感動する日々です。音楽をより多面的にとらえることができるようになりました。サンキュ、プリ💜

、、というようなことを、先日参加した某音楽配信サイト主催「音楽ライター夏期集中講座
《2010年代後半の世界の音楽の動きや傾向を理解、検証し、最終的に自分の聴きたい音楽をレジュメしていく》話していました。どんどん発言させられて、刺激的でした⚡️ 白熱教室
若い子達もいろんな音楽を聴いている!サンダーキャットから連想してフランク・ザッパの名前が挙がった時はうなった。。するどい!
キーパーソンの一人にプリンスの名前も挙がっていたので、これについては別途まとめますね


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