ジャズ界の巨匠ハービー・ハンコック(77歳!)が新作アルバムをリリース、ミネソタ動物園で公演したようです。

Jazz legend Herbie Hancock talks music, recovery, and partying with Prince
 〜  StarTribune  August 10, 2017

(サマリ)
ジャズ・キーボードの巨匠が、またもや作品に驚きをもたらした。新作アルバムはなんとも形容しがたい。
「アルバムには違う文化、違うジャンル、違う世代の人々が参加したよ。一緒に演奏している時に創造的なことが起こりうる、人間を一つにするような美しさをもたらす音楽を表現するのが好きなんだ。」

コラボレーターは広範囲且つ深きに渡る。スヌープ・ドッグ、ファレル・ウィリアムス、サンダーキャット、タブラ奏者ザキール・フセイン、若きジャズのスター達、ロバート・グラスパー、ジャマイア・ウィリアムス、カマシ・ワシントンなど。 

「俺たちはライブ・ショーで演奏している楽曲を演奏しているんだ。」

ハンコックはステージにいる時は、演奏以外のことを考えないようにしている。
「音楽は生き物のようなもので、俺たちは想像上の、多面的な楽器を演奏する指のようなもの。音楽の上がり下がり、そしてノート、ハーモニー、リズムの間のスペースさえもつなげることに集中するんだ。それは知的な探求のように聞こえるが、その過程は考えながらやるというより、ただやるということなんだ。」

コカイン中毒について

ハンコックの長いキャリアには紆余曲折があった。11歳でシカゴ交響楽団と共演して、モーツアルト のピアノコンチェルトを弾く神童としてキャリアをスタートした。

2014年に出版した回想録には過去にコカイン中毒者だったことも明かしている。
「埋めてしまいたい暗い時期のことは思い出したくなかったから、本に書くつもりはなかったんだけど、妻と娘が書くよう勧めたんだ。ある人々はこの本に救われたと言った。だから俺の人生に起こった中毒者としての真実を明かしたことを良かったと思っているよ。俺は(中毒に)勝ったんだ。打ち負かしたんだよ。」

ハンコックは理性的になったのだろう。2014年に、過去にレナード・バーンスタイン、ストラヴィンスキー、ジョン・ケージらが任命されたハーバード大学のCharles Eliot Norton professorship of poetryに任命され、同大学で6回の講義を行った。

「ジャズの倫理哲学は、人間であることと調和しているということだ。ジャズでは、俺たち一人ひとりが何を演奏しているかをジャッジしない。我々はすべてが機能するように努める。人が何を演奏しても、それを音楽の一部にしようとする。ジャッジせず、尊重するんだ。 我々はアイデアを共有し、互いに競争はしない。それは本当に健康的で、与えると同時に非常に実りがあるものなんだ。」

「アーティストは、才能があると自分は特別だと思うようになる傾向がある。時にアーティストは自分自身を偶像化させる、あるいはオーディエンスがアーティストを偶像化する(崇拝する)。真実は、この世で習得するのが最も難しいアートは、生きる技術(the art of living)ということだ。誰もがそれに対処せねばならない。」 

マイルスとの出会いについて

故郷のシカゴで7歳でクラシック・ピアノのレッスンを始め、アイオワ州にある Grinnell Collegeでエンジニアリング(工学)と音楽を学んだ後ジャズのキャリアをスタートさせたハンコックは、1962年にブルーノート・レーベルからデビューアルバム「Takin’ Off」をリリースし、収録曲「ウォーターメロン・マン(Watermelon Man)」が大ヒットした。このアルバムがマイルス・デイヴィスの注意を引き、マイルスはハンコックを新しいバンド、二番目に偉大なクインテットとして知られるバンドに招き入れた(バンドメンバーはウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウ ィリアムス、フレディ・ハバード)。

「マイルスでクールだったことは、何をすべきか具体的に指示しなかったことだね。ただ自分の道具を使って、何をすべきかわかるよう我々を促した。我々が解決策を探す道を示したのさ。」 

ハンコックはマイルスのもとで5年間過ごしが、その間自分の名義でアルバムを作ったり、バンドメンバーとセッションで演奏したり、CMや映画のサウンドトラックをレコーディングしたりした。これまでにグラミー賞を14回受賞し、アカデミー賞を1 回受賞している(1986 年に公開された映画『ラウンド・ミッドナイト』の音楽監督を務め、作曲賞を受賞。出演もしている)。

現在はUCLAの教授であり、ロサンゼルス交響楽団のジャズのクリエイティブ・チェアにも就いている。
「俺は毎日、日に2回お経を唱えているよ。仏教徒なんだ。俺の人生は単に音楽だけじゃないんだよ。」

プリンスとの出遭いについて

ハンコックはピンク、カニエ・ウエストらポップ・スターからクラシック・ピアノスターであるラン・ランやギターの神であるカルロス・サンタナまで、誰とでもコラボレーションしてきたが、プリンスとは一緒にレコーディングしなかった。が、プリンスが2000年代初期にロサンゼルスに住んでいた時、 2人は一緒にジャム・セッションをし、友人になった。プリンスはしばしばパーティーを主催し、ハンコックはサミュエル・L・ジャクソンやレオナルド・ディカプリオ、ペネロペ・クルスらのような人物と一緒にゲストリストに入っていた。 

「時々ジョニ・ミッチェルを一緒に連れて行ったんだ。プリンスは彼女を崇拝していたからね。」「プリンスの家に行って演奏するのはすごく楽しかったよ。あの場所は最高だったね。彼は即興で演奏するのが(インプロビゼーション)大好きだったからね。 」

「そして、宗教や哲学、音楽や人々が読んでいる本などについて語る深い会話もあった。時には太陽が 昇る早朝まで続くこともあったね。そして、驚くなかれ、皆はプリンスの家で朝食を食べるんだ。それから完全に疲れ切って家に帰るんだ。」

(関連記事)
Herbie Hancock Is Harvard's 2014 Norton Professor of Poetry
  ~ Harvard Magazine  January 9, 2014

6回の講義のトピックは
“The Wisdom of Miles Davis,” “Breaking the Rules,” “Cultural Diplomacy and the Voice Of Freedom,” and “Innovation and New Technologies.”
 など

ハービー・ハンコックらによるプリンス・メドレーも、アレサ・フランクリンが「Purple Rain」を歌唱、<インターナショナル・ジャズ・デイ>記念コンサート
 ~  amass  2016年5月1日
映像
Prince Tribute - International Jazz Day 2016 feat. Aretha Franklin & HerbieHancock
ハービーのスピーチに続き、ロバート・グラスパー、ラプソディー、テラス・マーティン、ハービーらが「1999」
を演奏、アレサ・フランクリンが「パープル・レイン」を熱唱。オバマ大統領夫妻がホスト in ホワイトハウス

(オマケ)
セレブレーション2017 in ミネアポリス、Bunker's Bar & Grill
Jesse Johnson and friends - "Purple Rain" Live at Bunker's Music Bar & Grill 4/21/17

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「真実は、この世で習得するのが最も難しいアートは、生きる技術(the art of living)ということだ。誰もがそれに対処せねばならない。」 

確かに。誰だって生きることは簡単じゃない。むろんアーティストにとっても。特にジャズ・ミュージシャンは一昔前まで麻薬とアルコールに溺れて早世する人が多かったので、ハービーは尚更実感しているのでしょう。

聞くところによると、ハービーとプリンスは2005年頃ライブで共演したようですね

また、ハービーはプリンスの「Thieves in the Temple」をカバーしていたのですね。知りませんでした。

ハービーは、現在全米をツアーで回っているようです。メンバーに今をときめくテラス・マーティンも参加しており、新旧の才能のコラボにワクワクします✨

また、リュック・ベッソン監督がハービーの大ファンとのことで、『フィフス・エレメント』に続くSF超大作『ヴァレリアン』にハービーを役者として起用しています。

まだまだ現役で活躍してくれそうですね♪